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初心忘るべからず

「初心忘るべからず」
現在、この言葉は 、

「初めの頃の純粋な気持ちを忘れずに、
物事に取り組め」

という意味で使われていますね。

しかし 「初心忘るべからず」は、
世阿弥が「花鏡」の中で述べた言葉で、
少し違う意味合いがある言葉なのです。

「初心」については
風姿花伝でもふれています。

学生時代に恩師に薦められて手にした
風姿花伝」と「花鏡」ですが、

特に、いつも机の脇の本棚にあり、
事あるごとに読んでいる 「風姿花伝」は、
今やボロボロになってしまいました。
何度読んでも飽きない内容で、
私にとっては宝物なのです。

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風姿家伝

世阿弥が40歳前後に
書いたとされている

風姿花伝(ふうしかでん)」の
風姿花伝第一 年来稽古條々」には

七歳
十二、三より
十七、八より
二十四、五
三十四、五
四十四、五
五十有余

それぞれの時期での心構えが 書かれていて
その中で初心についてふれています。

「二十四、五

この比、一期の芸能の定まる初めなり。
稽古の堺なり。
・・・
この比の花こそ初心と申す比なるを、
極めたるやうに主の思ひて、
早や、申楽にそばみたる論説をし、
至りたる風体をする事、あさましき事なり。

たとひ、人も讃め、名人などに勝つとも、
これは、一旦珍しき花なりと思ひ覚りて、
いよいよ、物まねをも直ぐにし定め、
なほ、得たらん人に事を細かに問ひて、
稽古をいや増しにすべし。

されば、時分の花を誠の花と知る心が、
真実の花になほ遠ざかる心なり。

ただ、人ごとに、この時分の花に迷ひて、
やがて、花の失するをも知らず。

初心と申すは比の事なり。

・・・」
(「風姿花伝」より引用) と。

また、61歳の時に書かれた 
「花鏡」(かきょう)には、

奥義として

「しかれば当流に万能一徳の一句あり。

初心忘るべからず。

この句、三ヶ条の口伝あり。

是非とも初心忘るべからず

時々の初心忘るべからず

老後の初心忘るべからず


この三、よくよく口伝すべし。」

(「花鏡」より引用) とあります。

ともすれば、
日常の流れの中で
忘れがちになっている
「初心」を忘れないためにも
世阿弥の「風姿花伝」と「花鏡」を
読み続けたいと思います。

機会がありましたら、
是非、手にして下さいね!