「文章を書くのは料理を作るようなもの」
外山滋比古氏が司馬遼太郎氏からのはがきを貰ったことを書いている。
自分の書いた誤りを指摘された内容なのだが、
「間違いをしたことをはずかしいと思う心よりも、
文章のやさしさとあたたかさに打たれた」と。
『「○○○おもしろうございました。これは、ファンレターです。」で始まる。
・・・
私の書いたことがやんわりと、しかしはっきりとのべられていて、
結びはこうである。
・・・
お返事なきように、右、あそびこころのまま」』
「文章を書くのは料理を作るようなものである。
食べ物はおいしくなくてはだめ。
いくら栄養があるからと言われても、
見るのもいやというシロモノではしょうがない。
ひと口食べてみて、これはいけそうだ、
と思わせることができれば、料理人は成功したといってよい。
文章で書き出しが大切で、また難しいのも、へたをすると、
その先を読んでもらえなくなるからである。
・・・
文章を書くときも読む人への
広い意味でのサービスを忘れてはいけない。
相手かまわずではなく喜んでもらおうという気持ちを
もちつづけていれば、やがて文章の腕は上がっていく。」
(「思ったことを思い通りに書く技術」青春出版社刊 外山滋比古著 より抜粋引用)
以前、雑誌の仕事でホテルにカンヅメになっていた時、
共著の先輩が書き出しの文を書くのに
一晩中唸っていたことを思い出しました。
「書いて書いて書きまくれ」と言われたのもそんな時期でした。
「1万時間は魔法の数字」を実感しています。